数ある訪問診療クリニックの中から、当院のページをご覧いただきありがとうございます。
突然、ケアマネジャーの方に向けた記事が表示されて驚かれたかもしれません。
しかし今回は、どうしてもケアマネジャーの皆さまに「食支援」について知っていただきたく、このような記事を執筆しました。
というのも、私たちがかつて大阪のクリニックで訪問診療に携わっていた際、勤務地周辺の医療従事者の間で、食支援に対する理解が十分でないと感じる場面が多くありました。
おそらく「食支援」という言葉が非常に幅広く、多面的なものであるがゆえに、現場での具体的なイメージが湧きにくく、結果として理解が進みにくいのではないかと思います。
「食べることに困難を抱える方にアプローチするのが在宅医療における食支援です」と言われても、どこか抽象的に感じられるかもしれません。そこで今回は、具体的な内容についてご紹介します。
たとえば、
• 加齢や神経難病などで嚥下機能が低下している方に対して、言語聴覚士(ST)が訪問し、評価・指導を行うことも食支援のひとつです。
• 衰弱が進み、経口摂取が不安定な方に対して、管理栄養士が訪問し、栄養の届け方を設計することもあります。
• ご家族が刻み食やペースト食の作り方が分からず困っている場合には、栄養士が具体的な調理法や工夫を助言します。
• また、「最近食べにくそう」という訴えの背景に、義歯が合わない・虫歯があるなどの口腔内トラブルが隠れていることもあり、訪問歯科の介入が必要になるケースもあります。

「食べる」という行為を支えるには、
• 食事内容(塩分制限や調理法、調味料の選び方)
• 食形態(通常食・刻み食・ペースト食)
• 口腔の状態(義歯・虫歯・舌の動きなど)
• 嚥下機能(飲み込みの力)
といった複数の要素をクリアする必要があります。
この複雑な支援には、医師や看護師だけでなく、言語聴覚士や管理栄養士といった多職種の専門的な関与が欠かせません。とくに管理栄養士は、糖尿病や心不全の患者さんにとって非常に重要な存在です。糖尿病では食事のPFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)が大きく影響し、心不全では1日の塩分摂取量が再入院率に直結します。
また、独居の方でヘルパーが調理を担っている場合には、栄養士がヘルパーに対して調理方法や食材・調味料の選定まで指導することもあります。
嚥下機能が低下している方に刻み食やペースト食の作り方をお伝えできなければ、窒息や誤嚥性肺炎のリスクを避けることはできません。
終末期を迎える患者さんにとって、「最後まで楽しく、苦痛なく食べる」ことを支えるのも私たちの大切な役割です。
食事は、人生の最期においてもその人らしさを形づくる、大きな喜びのひとつです。
この「食支援」を実現するには、ケアマネジャーの皆さまのご協力が必要不可欠です。ケアプランの中で言語聴覚士や栄養士の調整をお願いする場面があるかと思います。そんなときには、この記事でご紹介したような「食支援」の全体像を理解いただけていると、連携が格段にスムーズになります。
医療者・介護職を問わず、すべての在宅ケア関係者が知っておくべき「食支援」というテーマ。
この記事がその理解の一助となり、現場でのケアの幅を広げるきっかけになれば幸いです。


